デザート オブ ローズ
しあわせの余韻、香る
しあわせの香りはいつも
すこし、おくれて
私を包みこむ。
たいせつな人と会う
約束の前。
鏡の前、はずむ心に
ひと吹きの花をそえて。
待ち合わせにはいつも
すこし、はやく着いてしまう。
けれど今日は、待つ時間も
なんだか愛おしい。
近づく足音、
ほどける笑顔。
手が、触れる距離。
その瞬間
香りが、そっと
花ひらく。
デザート オブ ローズ
それは、砂漠を彩る夜明けの薔薇。
清らかな雫をまとった
センティフォリアローズと、
つややかなライチの輝き。
香りは、
華やかすぎなくていい。
でも、ふとした瞬間に
私を感じてほしい。
たわいもない会話に
なにげない仕草に
やわらかなムスクが重なり、
特別な時間になっていく。
香りは、
蝶が羽化するように
姿を変えながら、
ひらり、羽ばたいていく。
ひとりに帰ったあとも、
ふたりの余韻が
静かに、満ちている。